■「繊月酒造」として、新しい時代へ。
「お客様に愛される焼酎をつくりたい」
この想いひとすじに歩んできた峰の露酒造は、昨年で創業100周年を迎えることができました。これもひとえに皆様のご愛顧の賜物と深く感謝しております。
さて、101年目を迎え、当社は4月15日をもって社名を「繊月酒造」と改めることになりました。いうまでもなく、「繊月」は当社の主軸商品。発売以来、多くの方々にご愛飲いただき、「峰の露イコール繊月」というイメージも広く定着しています。
その「繊月」が売り出されたのは、昭和57年4月15日のこと。その年の1月、後継ぎとして社長に就任した私は、思い切った社内人事の改革を断行しました。会社に新風を吹き込みたいと願っていた私は、間もなく売り出される新製品に胸を熱くしたものです。
「繊月」は、当社の4代目杜氏・重富武春がその技術と経験、情熱のすべてを注いでつくりあげた“焼酎の完成品”。峰の露酒造の歴史と伝統を受け継ぎ、そのうえで新たな工夫を加えて仕上げたこの焼酎こそ、新しい時代にふさわしいものだったのです。
「この焼酎を、ぜひうちの看板商品にしたい」
そんな私の願いが叶って皆様に愛され、22年目を迎えました。その発売日と同じ日に、「繊月」の名を文字どおりの看板に掲げ、新たな歩みを進めていきたいと思っています。
■伝統産業にこそ求められる「進取の精神」。
伝統。この二字には、実は目に見えない危険がひそんでいます。古さを売り物にし、「老舗」と呼ばれるようになればなるほど、いつの間にかマンネリになり、自己欺瞞に陥ってしまう。これは、私たち自身が厳に戒めるべき問題です。
ですから、私はいつも、「伝統産業にこそ、常に前進する姿勢が必要だ」と言い続けてきました。先人から受け継いできた技術をただ継続するのではなく、時代に照らし合わせながら進化させていく。真に守るべきものを選びとり、そうでないものを切り捨てていく勇気もときには必要になる。つまり、「伝承の心」と「進取の精神」の融合こそ、伝統産業に求められるものだと私は思うのです。
「繊月」は、まさにそうした姿勢によって生みだされた製品。“伝統”と“いま”とをつなぐ要となって、峰の露酒造の四半世紀を支えてきました。
その「繊月」への社名変更は、私たちの新たな挑戦とも言えます。もちろん、名前だけではなく、社内のシステムにも積極的に新しい風を取り入れていきます。ここ数年でスタッフの数も増え、若い世代の声が工場に響くようになってきました。今後は彼らの意見を企画・開発に反映させ、新製品の開発や既存製品のリニューアル、製品ラインナップの見直しなども進めていく予定です。
さらに、近い将来、工場を改築し、新しい設備を導入。手づくりのこだわりを生かしたうえで合理化を進め、さらなる品質の向上と安定供給のための体制を確立したいと思っています。
■新しい歴史をつくる覚悟で、次の100年に挑む。
峰の露酒造が酒づくりに1世紀もの時間を注ぐことができたのは、何よりもまずそこに焼酎を愛してくださるお客様がいたから。そして、私たちに、そのお客様を想う“心”があったからにほかなりません。
「お客様に歓んでもらえる焼酎づくり」。先代、先々代から受け継いだこの信念を貫いてきたからこそ、いまの私たちがあるのです。101年目の今年は、その“心”を改めて確認する節目の年でもあります。
酒とは、人生を深め、生きることの愉しみをひろげてくれるもの。だからこそ、酒づくりに携わる私たちの歓びは、いつの時代もお客様のなかにある。この基本を踏まえ、さらに新しい歴史をつくっていく覚悟で歩みをはじめたいと思います。
峰の露酒造から、繊月酒造へ。新たな可能性の海に漕ぎ出した私たちに、どうぞご期待ください。
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新社名ロゴ

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